【きょうのギモン】マッチングアプリの「写真詐欺」は、詐欺罪になりませんか?
弁護士
吉田圭佑
【きょうの弁護士】吉田 圭佑
岩手県出身。中央大学法科大学院を卒業後、弁護士に。現在はアディーレ法律事務所にて、債務整理、交通事故の被害、浮気・不倫の慰謝料問題など幅広い案件を担当する。またプライベートでは多趣味であり、特にアニメ音楽や声優など、 “オタクカルチャー” に造詣が深い。(第一東京弁護士会 所属)
マッチングアプリで何度もやり取りして、いざ会ってみると、「写真と全然違うじゃん!」なんてことになれば、たしかに詐欺だと言いたくなるかもしれませんね(笑)。
しかし残念ながら、
詐欺罪には該当しないと考えられます。
そもそも詐欺罪(刑法 第246条)は、騙す行為によって、相手に真実でないことを真実であると誤信させ、お金などの「財物」やそのほか「財産上の利益」を交付させることで成立します。
では、マッチングアプリの「写真詐欺」はどうでしょうか。
実際とはずいぶん違う写真を使って、「素敵な人だ」と思わせること自体は騙す行為、すなわち欺罔行為に当たる気もします。
ですが、それで騙されて「会いに行った」としても、それ自体で詐欺罪の成立に必要な、「財物」や「財産上の利益」の交付は生じていません。
そのため 「写真詐欺」が、一般的なマッチングアプリの目的である「出会う」ためにされたのであれば、刑法上の詐欺罪に該当することはない と考えられます。
ただし、実際には存在しない美女やイケメンの写真を使い、 「この人に会いたいならお金を支払え」などと言って、お金を騙し取った場合 などは、詐欺罪に該当するかもしれませんね。
マッチングアプリで「出会う」ために、「写真詐欺」をしても詐欺罪にはならない。…とはいえ、個人的にはせっかく出会うならいい出会いがいいと思うので、ぜひ誠実な写真を使ってほしいとは思います(笑)。