
【きょうのギモン】自分名義で勝手に作られた借金は返さなくても大丈夫ですか?

弁護士
神野由貴


【きょうの弁護士】神野 由貴
税関職員の経歴を経て、弁護士に。アディーレ法律事務所にて、不貞慰謝料の請求における交渉・訴訟、また弁護士の視点からマーケティング施策などに携わる。プライベートでは、小学生の頃からの歴史好き。歴史ドラマやYouTube、書籍など、普段から様々な歴史コンテンツを楽しみ、時間ができれば、歴史的な名所にも足を運んでいる。(兵庫県弁護士会 所属)
ポイント① 原則としては返さなくていい
自分がまったく知らないうちに、勝手に自分名義の借金を作られていたのであれば、お金を借りたのは自分ではないため、当然ですがお金を返す義務はありません。
ただし、一定の場合には、例外的に借金を返す義務が生じてしまうことがあります。
ポイント② 印鑑などを不用意に預けていた場合
まず、勝手にお金を借りた人物に対して、 自分の本人確認書類や印鑑を不用意に預けており、それを利用されて自分名義の借金を作られた 場合。
たとえば、預けた相手が困った時は自分の印鑑などを使って、自分名義で何らかの契約をするかもしれないことを認識していたにもかかわらず、「いつでも使っていいよ」などと言って預けていたような場合には、お金を返す義務を負ってしまう可能性もゼロではありません。
また、 自分名義の借金を作られたことを知った際、焦って貸主に「自分が返します」などと言ってしまわないように しましょう。
原則どおりお金を返す義務を負わない場合でも、自分がお金を借りた当事者であると認めたことになって、お金を返す義務を負うことになってしまいかねないからです。
ポイント③ 配偶者による借金
次に、勝手に借金を作ったのが配偶者だった場合です。
借金の理由が「生活費に充てる」など、夫婦の日常生活に必要なお金を調達するためだった場合など、「日常家事債務」に該当すれば、自分にも返済義務が生じます。 なお、この場合、名義は関係ありません。
配偶者が、配偶者自身の名義で借金をしたとしても、その理由が「日常家事債務」に該当するのであれば、夫婦が連帯してその返済義務を負うことになります。