【きょうのギモン】「ごみのポイ捨て」は、犯罪になりますか?
弁護士
川原朋子
【きょうの弁護士】川原 朋子
青森県出身。「人を直接助ける仕事がしたい」と、働きながら夜間のロースクールに通い、司法試験に合格。弁護士に加え、メンタル心理カウンセラーなど多数の資格を持つ。現在、アディーレ法律事務所では、弁護士の立場からマーケティング施策などに従事。プライベートでは海外ドラマが好きで、なかでも好きなのは「刑事もの」や「弁護もの」。特に女性弁護士アリーが主人公の『アリーマイラブ』は、子どもの頃から何度も見返すほどのお気に入り。(埼玉弁護士会 所属)
ポイント① 廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反
『廃棄物処理法(※)』では、「何人もみだりに廃棄物を捨ててはならない」と定められています(16条)。この「廃棄物」には、「ごみ」も含まれます(2条1項)。
(※)正式名称:廃棄物の処理及び清掃に関する法律
これに違反した場合、「5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、またはその両方」が科される可能性があります(25条1項14号)。法人は3億円以下の罰金です(32条1項1号)。
ただし、実際にポイ捨てが捜査の対象となり、犯罪として処罰されるのは、 大型の廃棄物を不法投棄するケースや、ごみを野焼きするケース など、悪質な事例に限られるようです。
ポイント② 各自治体の条例違反
ポイ捨てを規制する条例などを制定している自治体も多いです。たとえば令和5年度の環境省の調査では、 約60%の市町村によって制定されています。
罰則の内容は、自治体が定める条例によって異なります。
罰金など金銭的なペナルティを定めているところもあれば、勧告や命令、また命令に従わない場合の氏名公表を定めているところもあります。
ポイント③ その他の法律違反の可能性
また「ゴミのポイ捨て」は、廃棄物処理法や条例以外にも、次のような法令に違反して罰則を受ける可能性があります。
- 軽犯罪法(1条27号)
「公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死骸その他の汚物又は廃物を捨てた者」 - 河川法施行令(16条の4第1項2号)
河川区域内の土地で「ごみ、糞尿、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物」を捨てること - 道路交通法(76条4項5号)
「道路において進行中の車両等から物件を投げること」
ポイ捨ては、犯罪となる可能性があるだけでなく、環境や公衆衛生の観点からも大きな問題です。
美しい環境を守り、持続可能な社会を実現するためにも、責任ある行動を心がけていきたいですね。