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【きょうのギモン】友人に貸したお金も「時効」を過ぎたら、返ってこないって本当ですか?

弁護士

神野由貴


【きょうの弁護士】神野 由貴
税関職員の経歴を経て、弁護士に。アディーレ法律事務所にて、不貞慰謝料の請求における交渉・訴訟、また弁護士の視点からマーケティング施策などに携わる。プライベートでは、小学生の頃からの歴史好き。歴史ドラマやYouTube、書籍など、普段から様々な歴史コンテンツを楽しみ、時間ができれば、歴史的な名所にも足を運んでいる。(兵庫県弁護士会 所属)


ポイント① 時効期間は5年か10年

時効(消滅時効)とは、 一定期間権利を行使しなかった場合、その権利が消滅してしまう制度 のことです。お金の貸し借りにおいては、「お金を返してもらう権利」となります。

民法上、時効は次のうち、いずれか早く訪れた時点で完成します。

・債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき
・権利を行使することができる時から十年間行使しないとき


(※2020年4月1日以降にお金を貸した場合)

「権利を行使することができる時」とは、返済期日を決めていればその日、決めていなければ、実際にお金を貸した日です。

(※)時効までに、お金を借りた人が一部を返済したり、返済の意思を示したりした場合には、その時点から新たに時効が再スタートします。

お金を貸した人は、お金を返してもらう権利があることを知っているのが通常ですから、 時効期間は5年であることがほとんど でしょう。


ポイント② 時効期間がきても、自動的に権利が消滅するわけではない

ただし、お金を返してもらう権利は、ただ時効期間が経過すれば自動的に消滅するわけではありません。

あくまで、 お金を借りた人が「時効が完成しているはずだから返さない」という意思表示(この意思表示のことを『時効の援用』といいます)をした場合に、権利が消滅する にすぎないのです。

したがって、お金を貸して5年以上経ってから、「昔、貸していたお金を返して」と請求し、友人が返してくれるのであれば、受け取って何の問題もありません。

もっとも、昔のことであればあるほど、双方の記憶に食い違いなどが生じやすいものです。

時効が問題にならないうちに、請求して解決することをおすすめします。