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【きょうのギモン】恋人と別れるとき、これまで渡したプレゼントを返してもらうことはできますか?

弁護士

川原朋子


【きょうの弁護士】川原 朋子
青森県出身。「人を直接助ける仕事がしたい」と、働きながら夜間のロースクールに通い、司法試験に合格。弁護士に加え、メンタル心理カウンセラーなど多数の資格を持つ。現在、アディーレ法律事務所では、弁護士の立場からマーケティング施策などに従事。プライベートでは海外ドラマが好きで、なかでも好きなのは「刑事もの」や「弁護もの」。特に女性弁護士アリーが主人公の『アリーマイラブ』は、子どもの頃から何度も見返すほどのお気に入り。(埼玉弁護士会 所属)


ポイント① プレゼントは法的には「贈与契約」

民法上、プレゼントは「贈与」に該当します。

贈与とは、当事者の一方が 財産を無償で相手方に与える意思表示をし、相手方がこれを受諾することによって成立する契約 です(民法549条)。

贈与が成立すると、贈与物の所有権は受贈者(プレゼントを受け取った側)に移転します。

プレゼントした人にはもう所有権はないので、返還を請求する権利はありません。

ただし、法的に返還を請求できる権利はなくても、話し合いによって返還に合意してもらえることはあるかもしれません。


ポイント② 一定の場合に贈与は取り消せる

例外として、贈与の取り消しが認められるケースもあります。

たとえば、 贈与が錯誤、詐欺、強迫によって行われた場合 です。その場合は契約を取り消したうえで、プレゼントの返還を求めることができます。

しかし、通常の恋人同士でプレゼントをする際、その恋人による錯誤や詐欺、強迫があったとされるケースは、極めて稀でしょう。


ポイント③ 例外:婚約指輪など一定の条件のあるプレゼント

また婚約指輪は、通常、結婚を目的とする贈与契約であり、結婚しない場合には贈与契約を解除するという条件付だと考えられます。

したがって、別れる事情にもよりますが、 婚約破棄の原因がもっぱらプレゼントした側にあるケースを除いては、婚約指輪の返還を求めることができる でしょう。

婚約指輪など特殊なプレゼントは別にしても、プレゼントの返還を求めるのはスムーズな別れとは言えず、楽しい思い出も薄れてしまいそうです。熟考のうえ判断を!