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【きょうのギモン】友達と共同で買った宝くじが高額当選した場合、黙って独り占めしたらマズいですか?

弁護士

川原朋子


【きょうの弁護士】川原 朋子
青森県出身。「人を直接助ける仕事がしたい」と、働きながら夜間のロースクールに通い、司法試験に合格。弁護士に加え、メンタル心理カウンセラーなど多数の資格を持つ。現在、アディーレ法律事務所では、弁護士の立場からマーケティング施策などに従事。プライベートでは海外ドラマが好きで、なかでも好きなのは「刑事もの」や「弁護もの」。特に女性弁護士アリーが主人公の『アリーマイラブ』は、子どもの頃から何度も見返すほどのお気に入り。(埼玉弁護士会 所属)


ポイント① 宝くじの共同購入は「組合契約」

宝くじを共同で購入するとき、通常は「お金をそれぞれが出し合って共同で宝くじを買い、
当選金は出し合った資金に応じて分配する」という約束をするはずです。

民法上、そのような約束も「事業の一種」として考えられます。

そこで、宝くじを共同で購入した人(共同出資者)は、 「各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約束」したとして、組合契約を締結 したことになります(民法667条1項)。


ポイント② 民事訴訟を起こされるリスクも

共同出資者は「組合員」として、当選金の分配を請求する権利があります。

通常は、共同購入時にどのように分配するかを決めるはずですが、決めていない場合には、出資の割合に応じて定められます(民法674条1項)。

黙って当選金を独り占めすることは、他の「組合員」の権利を侵害する行為です。 分配金の支払いをもとめて民事訴訟を起こされるリスクもあります。


ポイント③ 信頼関係が破壊される

共同購入は、友人同士や家族、同僚など親しい人と行うことが多く、それぞれの信頼関係の上に成り立っています。

共同購入した宝くじの当選金を独り占めすることは、この信頼関係を根本から覆す行為です。

一時的な金銭的利益のために長年築いてきた友情を失うことは、長期的に見れば大きな損失となるのではないでしょうか。また、このような行為が周囲に知れ渡れば、社会的信用も大きく損なわれる可能性があります。

人間関係や社会的評価は、金銭では簡単に取り戻せないものですので、きちんと分配するようにしましょう。