【きょうのギモン】犯罪は、何年で時効になりますか?
弁護士
川原朋子
【きょうの弁護士】川原 朋子
青森県出身。「人を直接助ける仕事がしたい」と、働きながら夜間のロースクールに通い、司法試験に合格。弁護士に加え、メンタル心理カウンセラーなど多数の資格を持つ。現在、アディーレ法律事務所では、弁護士の立場からマーケティング施策などに従事。プライベートでは海外ドラマが好きで、なかでも好きなのは「刑事もの」や「弁護もの」。特に女性弁護士アリーが主人公の『アリーマイラブ』は、子どもの頃から何度も見返すほどのお気に入り。(埼玉弁護士会 所属)
ポイント① 時効は、正式には「公訴時効」
一般的に言われる犯罪の時効は、正式には「公訴時効」と呼ばれます。
「公訴時効」とは、犯罪行為について、一定期間、刑事事件として公訴されなければ、検察官は公訴できなくなることです。
そのため「公訴時効」を迎えれば、結果として、犯罪行為について刑罰を受けることはなくなります。
「公訴時効」は『刑事訴訟法』という法律で定められており、 時効期間(時効完成までに必要な期間)のカウントがはじまるのは「犯罪行為が終わったとき」 です。
例えば、窃盗であれば、「窃盗行為が終了した時点(遅くとも店を出た時点)」が起算点となり、時効期間のカウントがスタートします。
ポイント② 時効期間は犯罪によって異なる
例えば、 『殺人罪』『強盗殺人罪』の一番重い刑罰は死刑ですが、「公訴時効」の期間制限はありません。
また、『不同意わいせつ致死罪』『不同意性交等致死罪』の一番重い刑罰は無期懲役。「公訴時効期間」は30年です。
そして一番短いのは、『軽犯罪法』違反で、「公訴時効」は1年となっています。
以前は「殺人」にも時効がありましたが、時効成立後に殺人を自白した者を処罰できないことが、社会的に大きな問題となりました。
平成22年に法律が改正され、「殺人」などの一定の犯罪については「公訴時効」がなくなっています。