弁護士とつくる “あそびメディア”

【きょうのギモン】インターネット上での誹謗中傷に対処する方法はありますか?

弁護士

神野由貴


【きょうの弁護士】神野 由貴
税関職員の経歴を経て、弁護士に。アディーレ法律事務所にて、不貞慰謝料の請求における交渉・訴訟、また弁護士の視点からマーケティング施策などに携わる。プライベートでは、小学生の頃からの歴史好き。歴史ドラマやYouTube、書籍など、普段から様々な歴史コンテンツを楽しみ、時間ができれば、歴史的な名所にも足を運んでいる。(兵庫県弁護士会 所属)


ポイント① 証拠を押さえたうえで削除を依頼する

まず、「誹謗中傷」被害への対処として、誹謗中傷が行われているプラットフォームの運営者に通報し、削除を依頼することが考えられます。多くのプラットフォームでは、「利用規約に違反するコンテンツ」を削除するための手続きが用意されているためです。

その際、なにより重要なのが、 証拠を確保すること。 スクリーンショットなどで誹謗中傷の内容を記録し、当該URLも保存しておきましょう。


ポイント② 投稿者を特定したいなら「発信者情報開示請求」を

「誹謗中傷」の書き込みを行った人物に対し、損害賠償請求(民事)や処罰(刑事)を望む場合は、削除ではなく『発信者情報開示請求』を行うとよいでしょう。

「プロバイダ責任制限法」に基づく『発信者情報開示請求』を行うと、誹謗中傷を行った人物を特定できる場合があります。特定できた場合、誹謗中傷の内容によっては、『名誉毀損罪』や『侮辱罪』などで告訴でき、民事で慰謝料などの損害賠償を請求できる可能性もあります。

この「開示請求」をお考えの際は、 「誹謗中傷の書き込みを削除する」タイミングには注意しましょう。 いったん削除してしまうと、投稿者の手がかりがなくなってしまい、開示請求が困難となる可能性があります。


ポイント③ 投稿者の特定は、1人でやるのは難しい

なお、2022年の法改正により、インターネット上で誹謗中傷を受けた際の『発信者情報開示請求』がしやすくなりました。

具体的には、 発信者情報の開示請求の手続が簡素化され、被害者の負担が軽減 されています。

とはいえ、『発信者情報開示請求』は専門性が非常に高く、改正があったとしても弁護士へ依頼せずに対処するのは難しいと考えられます。

そのため誹謗中傷を受けた際は、一人で抱え込まず、弁護士への相談を検討してみてもいいかもしれません。