【きょうのギモン】お札に落書きすると、なにか罪になりますか?
弁護士
川原朋子
【きょうの弁護士】川原 朋子
青森県出身。「人を直接助ける仕事がしたい」と、働きながら夜間のロースクールに通い、司法試験に合格。弁護士に加え、メンタル心理カウンセラーなど多数の資格を持つ。現在、アディーレ法律事務所では、弁護士の立場からマーケティング施策などに従事。プライベートでは海外ドラマが好きで、なかでも好きなのは「刑事もの」や「弁護もの」。特に女性弁護士アリーが主人公の『アリーマイラブ』は、子どもの頃から何度も見返すほどのお気に入り。(埼玉弁護士会 所属)
ポイント① 「貨幣」の損傷は法律で禁止されているが、「紙幣」は含まれない
『貨幣損傷等取締法』では、故意に「貨幣」を損傷する行為を禁止しています。
貨幣損傷等取締法
1項 何人も、貨幣を損傷し、又はこれを鋳つぶしてはならない。
この「貨幣」の種類は、基本的に500円、100円、50円、10円、5円及び1円の6種類です(通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律5条1項)。
一方でお札は法律上、「日本銀行券」と呼ばれ、その種類は1万円、5000円、2000円及び1000円の4種類です(日本銀行法施行令13条)。
つまり、お札は貨幣には含まれません。
したがって、お札に落書きしたとしても、「貨幣」を損傷したとして『貨幣損傷等取締法』に反して罪になることはありません。
ポイント② 「罪にならない」とはいえ、お札への落書きはやめよう
ただし落書きされたお札は、 日常の取引において受け取りを拒否されることがあり、経済活動に支障をきたすおそれ があります。
商取引の円滑な進行を妨げますので、数が増えれば社会的にも問題です。
(※)ちなみに落書きにより使用が困難なお札については、「汚損」したものとして、日本銀行で引き換えが可能な場合があります(日本銀行法48条)。
「罪にならない」とはいえ、安易にお札に落書きすることはやめましょう。