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【きょうのギモン】子どもの名前に、アルファベットは使えませんか?

弁護士

川原朋子


【きょうの弁護士】川原 朋子
青森県出身。「人を直接助ける仕事がしたい」と、働きながら夜間のロースクールに通い、司法試験に合格。弁護士に加え、メンタル心理カウンセラーなど多数の資格を持つ。現在、アディーレ法律事務所では、弁護士の立場からマーケティング施策などに従事。プライベートでは海外ドラマが好きで、なかでも好きなのは「刑事もの」や「弁護もの」。特に女性弁護士アリーが主人公の『アリーマイラブ』は、子どもの頃から何度も見返すほどのお気に入り。(埼玉弁護士会 所属)


ポイント① 戸籍に記載できる文字の範囲は法律で決められている

法律上、戸籍に記載できる文字には制限があり、名前には「常用平易な文字」を使わなければなりません(戸籍法50条1項)。

「常用平易な文字」が何なのかは、法務省令(※)で定められています。具体的には、 「常用漢字」「人名用漢字」「カタカナ」「ひらがな(変体仮名を除く)」 です(戸籍法施行規則60条、別表第二)。

(※)省令…法律を円滑に運用するために各省が行政事務について定めるルール

つまり、アルファベットは戸籍に記載する名前には使用できません。


ポイント② 「ー」「ゞ」「ぇ」「ぃ」は使用可能

一方、 記号類については使用できるものもあります。

たとえば、長音記号「―」は、「ジョージ」など、直前の音を延ばす場合に限って使用できます。また、「みすゞ」など、直前の文字の繰り返しに用いる場合に限り、「ゝ」「ゞ」「々」も使用可能です。

さらに「ぇ」「ぃ」の小文字も、「じぇい」「りりぃ」など、一般的に発音ができ、文字の並びとして一般的に認識されていれば使用できます。

参考:子の名に用いることのできる文字等について|文化庁


ポイント③ パスポートにおける名前のローマ字表記

ちなみに二重国籍の子どもをお持ちの方で、パスポートには「他国の出生証明書に記載した名前を表記したい」というケースもあるでしょう。

パスポートの氏名は、戸籍に記載されているものを『ヘボン式ローマ字』で表記されるのが通常です。たとえば「田中ジョン」という名前なら、「TANAKA JON」となります。

ただし田中ジョンさんが二重国籍で、他国の出生証明書では「TANAKA JOHN」と記載されているような場合には、非ヘボン式ローマ字での表記「JOHN」が可能です。

一度発給されたパスポートの氏名表記は、原則として変更できません。取得を検討する際は、こうした対応ができることを覚えておいていただければと思います。