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【きょうのギモン】アイドルが自分の「チェキ」を1万円で販売することはできますか?

弁護士

神野由貴


【きょうの弁護士】神野 由貴
税関職員の経歴を経て、弁護士に。アディーレ法律事務所にて、不貞慰謝料の請求における交渉・訴訟、また弁護士の視点からマーケティング施策などに携わる。プライベートでは、小学生の頃からの歴史好き。歴史ドラマやYouTube、書籍など、普段から様々な歴史コンテンツを楽しみ、時間ができれば、歴史的な名所にも足を運んでいる。(兵庫県弁護士会 所属)


ポイント① 自分の意思に基づいて自由に契約を結べる“私的自治の原則”

アイドルのイベント会場や、コンセプトカフェなどではお馴染みの「チェキ」。アイドルを単体で撮影したり、一緒に写ったり、その場で撮って、すぐに現像できる手軽さから、「1枚〇〇円」といった形で販売されています。

さて、このチェキの価格設定ですが、 売主と買主の双方が合意しているのであれば、基本的にいくらであっても問題ありません。

個人が自己の意思に基づいて自由に契約を結ぶことができるという、「私的自治の原則」があるからです。この原則は、「契約自由の原則」とも呼ばれ、民法の基本的な考え方の一つになっています。

したがって、売り手と買い手が合意していれば、どんな価格で契約を結ぶことも自由です。チェキを1万円で販売しても、それ自体に法的な問題はありません。

(※)「転売禁止」ルールが設けられたチェキの転売など、売主と買主の双方の合意があっても売買が認められないケースもあります。


ポイント② 契約が無効になったり、取り消されたりする例外も

ただし、いくつか例外や注意点があります。

たとえば、契約内容が公序良俗に反する場合や、だましたり(詐欺)おどしたり(強迫)して契約が締結された場合です。こうしたケースにおいては、契約自体が無効と判断されたり、買い手による契約取消が認められたりする可能性があります。

特にだますつもりがなかったとしても、 写真の内容や販売方法、金額など、契約内容に誤解が生じていた場合、契約の取消事由に該当する可能性もある ため注意が必要です。