弁護士とつくる “あそびメディア”

【きょうのギモン】テレビ番組を撮影してSNSに投稿したら、何か罪になりますか?

弁護士

川原朋子


【きょうの弁護士】川原 朋子
青森県出身。「人を直接助ける仕事がしたい」と、働きながら夜間のロースクールに通い、司法試験に合格。弁護士に加え、メンタル心理カウンセラーなど多数の資格を持つ。現在、アディーレ法律事務所では、弁護士の立場からマーケティング施策などに従事。プライベートでは海外ドラマが好きで、なかでも好きなのは「刑事もの」や「弁護もの」。特に女性弁護士アリーが主人公の『アリーマイラブ』は、子どもの頃から何度も見返すほどのお気に入り。(埼玉弁護士会 所属)


テレビ番組は「映画の著作物」として著作権法で保護されています(著作権法2条3項)。

テレビ番組の著作権者は、テレビ番組について、『複製権(同法21条)』や『公衆送信権(同法23条1項)』という権利を有しています。また、放送事業者は、テレビ番組について、『複製権(同法98条)』や『送信可能化権(同法99条の2)』という権利を保有しています。

テレビ番組を撮影して、著作権者等の承諾なくSNSで投稿し、誰でも見られるような状態にすると、これらの権利を侵害し、著作権法違反となります。

テレビ番組を自分用に録画して見ることは、私的複製として適法(同法30条1項)ですが、SNSに投稿して誰でも見られるようにする行為は、私的複製とは認められないでしょう。


著作権侵害には重い罰則があります。

個人であれば、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方を科されます(同法119条1項)。

法人であれば、3億円以下の罰金です(同法124条1項1号)。


刑事罰以外にも、著作権者等から公開をやめるよう請求されたり、損害賠償を請求されたりする可能性があります。

テレビ番組を録画し、無断でSNSに投稿して広く公開することは、著作権法違反となる可能性が高く、刑事・民事の両方で重大な法的リスクを伴います。安易な投稿は、厳に控えるようにしましょう。