弁護士とつくる “あそびメディア”

【きょうのギモン】本当のことを言っても、「名誉毀損」になる可能性があるって本当ですか?

弁護士

神野由貴


【きょうの弁護士】神野 由貴
税関職員の経歴を経て、弁護士に。アディーレ法律事務所にて、不貞慰謝料の請求における交渉・訴訟、また弁護士の視点からマーケティング施策などに携わる。プライベートでは、小学生の頃からの歴史好き。歴史ドラマやYouTube、書籍など、普段から様々な歴史コンテンツを楽しみ、時間ができれば、歴史的な名所にも足を運んでいる。(兵庫県弁護士会 所属)


基本的には、 本当のことを言っても『名誉毀損罪』は成立 します。

『名誉毀損罪(刑法 第230条1項)』

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

上記のように、『名誉毀損罪』の条文には「その事実の有無にかかわらず」という記載があります。つまり本当であるかは関係なく、公然と事実を述べ、他人の社会的評価を低下させた場合は、『名誉毀損罪』が成立し得るのです。


一方で、刑法 第230条2項には「死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。」とあります。

つまり死者に関する事実を述べた場合、 それが真実であれば、少なくとも死者に対する『名誉毀損罪』は成立しません。

(死者の行った行為について、歴史的な批判を可能にするため)


また公共の利害に関する事実である場合も、『名誉毀損罪』が成立しないことがあります。

たとえばこれにあたるのが、 『公務員』や『選挙の候補者』に関する事実など、公益を図る目的でなされた表現行為 です。

つまり「死者に関する事実を述べた場合」や「公益性が認められる場合」などの例外を除き、本当のことでも『名誉毀損罪』は成立します。

「本当のことだから」は通用しないので、ネットなど公共の場での発言は、ぜひご注意いただければと思います。