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【きょうのギモン】非常ボタンを押して電車を止めたら、どれくらいヤバいですか?

弁護士

神野由貴


【きょうの弁護士】神野 由貴
税関職員の経歴を経て、弁護士に。アディーレ法律事務所にて、不貞慰謝料の請求における交渉・訴訟、また弁護士の視点からマーケティング施策などに携わる。プライベートでは、小学生の頃からの歴史好き。歴史ドラマやYouTube、書籍など、普段から様々な歴史コンテンツを楽しみ、時間ができれば、歴史的な名所にも足を運んでいる。(兵庫県弁護士会 所属)


正当な理由なく非常ボタンを押して電車を止めた場合、 『偽計業務妨害罪(刑法第233条)』や『威力業務妨害罪(同第234条)』が成立する可能性があります。 法定刑はいずれも3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

また、実際に電車の往来に危険が生じたといえる場合には、『往来危険罪(同第125条1項)』が成立する可能性もあります。『往来危険罪』の法定刑は2年以上の有期懲役です。


さらに、民事上の責任も忘れてはなりません。

電車が止まったことで実際に損害が生じたのであれば、 鉄道会社や他の乗客から損害賠償を請求される可能性があります。 特に大規模な遅延が発生した場合、その賠償額は非常に高額になるでしょう。


もっとも、これらはイタズラで非常ボタンを押した場合です。

人命救助が最優先ですので、人が線路に転落した場合など緊急時にはためらわずに非常ボタンを押してください。仮に間違いであったとしても、罪に問われることはありません。