【きょうのギモン】自首したら、どれくらい刑は軽くなるんですか?
弁護士
岩井直也
【きょうの弁護士】岩井 直也
東京大学を卒業後、予備試験を経て、弁護士に。現在はアディーレ法律事務所にて、残業代請求などの案件を手掛ける。プライベートでは小学生の頃からのアニメ好き。これまでに500作品ほどを制覇した。今現在は特に『ウマ娘』推しで、そこから転じて競馬も見るようになった。(東京弁護士会 所属)
そもそも自首とは、「自分の犯罪を自主的に警察などの捜査機関に申告し、処罰を求める行為」のこと。
自首によってどのくらい刑を軽くするか(減軽)については、刑法68条に定められています。
第六十八条 法律上刑を減軽すべき一個又は二個以上の事由があるときは、次の例による。
一 死刑を減軽するときは、無期の懲役若しくは禁錮又は十年以上の懲役若しくは禁錮とする。
二 無期の懲役又は禁錮を減軽するときは、七年以上の有期の懲役又は禁錮とする。
三 有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の二分の一を減ずる。
四 罰金を減軽するときは、その多額及び寡額の二分の一を減ずる。
五 拘留を減軽するときは、その長期の二分の一を減ずる。
六 科料を減軽するときは、その多額の二分の一を減ずる。
たとえば、本来であれば「懲役5年から10年の間」で刑を言い渡すべき犯罪で自首を行ったケースなら、1/2相当の「懲役2年6ヵ月から5年の間」で刑を言い渡すことができます。
また自首は、 「犯罪が『捜査機関に発覚する前』に行わなければならない」 と定められています。
つまり警察などの捜査機関が、犯罪が起こった事実やその犯人を知らない状況で申告しなければ自首は成立しません。
たとえば、警察が犯人を特定している状況で名乗り出た場合、自首とは認められず、原則として刑は減軽されないということになります(※)。
(※)情状酌量により、刑が軽くなる可能性はある。
とはいえ、自首をしたからといって常に刑が軽くなるわけではありません。
刑の減軽について定めている刑法42条では、 「刑を減軽することが『できる』」と定めるにすぎず、 「必ず刑を軽くしなければならない」とはなっていない ためです。
もっとも、一部の犯罪については、自首した場合に必ず刑を軽くしたり免除したりすることを定めているケースもあります。
たとえば以下のような犯罪は、自首した場合は、必ず刑が軽くなるか、免除されます。
・内乱予備罪(刑法78条・80条)
・航空機強取等予備罪(航空機の強取等の処罰に関する法律3条)
・銃刀法違反(銃砲刀剣類所持等取締法31条の5)
・感染症予防法違反(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律67条3項)