【きょうのギモン】列の割り込みは、犯罪になるって本当ですか?
弁護士
神野由貴
【きょうの弁護士】神野 由貴
税関職員の経歴を経て、弁護士に。アディーレ法律事務所にて、不貞慰謝料の請求における交渉・訴訟、また弁護士の視点からマーケティング施策などに携わる。プライベートでは、小学生の頃からの歴史好き。歴史ドラマやYouTube、書籍など、普段から様々な歴史コンテンツを楽しみ、時間ができれば、歴史的な名所にも足を運んでいる。(兵庫県弁護士会 所属)
かなり強引な割り込み方をした場合、該当する恐れがあるのが、『軽犯罪法』違反です。
『軽犯罪法(第1条13号)』によると、「威勢を示して(中略)公衆の列に割り込」むことは犯罪になり得るとされています。
ポイントは、 この罪が成立するためには「威勢を示して」列に割り込む必要がある 、ということです。
一般的に「威勢」とは、「威勢がいい」など言動に活気や勢いがある様子を指しますが、人を恐れさせて従わせる力のことも指し、今回はその意味合いが強いといえます。
そのため、たとえばバレないようにこっそりと列に割り込んだような場合、この罪は成立しません。(だからといって、割り込みはやめましょう!)
この罪に該当するような行為を想像すると、かなり荒っぽく強引に列に割り込み、割り込まれた人を威嚇する、などでしょう。
とはいえ、このようなことをすれば、軽犯罪法だけでなく、その他の法律や条例にも違反しそうな気もします(笑)。
ところで、軽犯罪法第1条13号は、「汽車、電車、乗合自動車、船舶その他の公共の乗物、演劇その他の催し若しくは割当物資の配給」を待っている公衆の列に割り込むことを禁止の対象にしています。 トラブルになりがちな、飲食店の行列は対象に含まれていません。
つまり、飲食店の行列への割り込みの場合、軽犯罪法違反にはならないと考えられます。(だからといって、割り込みはやめましょう!)
この法律が想定しているのは、電車やバスに乗り込む際の割り込みということになりますね。