【きょうのギモン】「なまはげ」の行動は、法的に大丈夫ですか?
弁護士
神野由貴
【きょうの弁護士】神野 由貴
税関職員の経歴を経て、弁護士に。アディーレ法律事務所にて、不貞慰謝料の請求における交渉・訴訟、また弁護士の視点からマーケティング施策などに携わる。プライベートでは、小学生の頃からの歴史好き。歴史ドラマやYouTube、書籍など、普段から様々な歴史コンテンツを楽しみ、時間ができれば、歴史的な名所にも足を運んでいる。(兵庫県弁護士会 所属)
少々恐ろしい形相のお面をつけ、「泣く子はいねが~」「泣く子はいねが~」などと言いながら家々を回る、秋田県の伝統行事『なまはげ』。
現代の法律の観点から、その行動を見てみると、いくつか注意すべきポイントがあります。
まず一つが、「住居侵入」の問題です。
いくら『なまはげ』といえど、各家庭を訪れる際、 無断で住居に侵入すれば、住居侵入罪(刑法第130条前段)に該当する可能性があります。
法律的な視点でいえば、訪問前に住民の同意を得ておく必要があるといえるでしょう。
次に、「脅迫」の問題も考慮しておいた方がいいでしょう。
なまはげの行事は子供たちに対して恐怖を与えることがあります。 生命や身体などへ危害を加えることを伝える行為は、脅迫罪(同第222条1項)に該当する可能性があります。
親 や保護者の同意を得て、適度な範囲で行うことが大切です。
…と、法的に考えてみましたが、『なまはげ』は地域の文化や歴史に深く根ざした大切なイベント。 地域のみなさんの理解や同意の元で行われている限り、問題はありません。
『なまはげ』には、地域ごとに異なるルールや伝統もあります。現代の法律や子供たちの気持ちにも配慮しながら、ぜひそうした文化をこれからも受け継いでいってほしいなと思います。