【きょうのギモン】間違って届いた他人の宅配便をうっかり開けたら、何かマズかったりしますか?
弁護士
川原朋子
【きょうの弁護士】川原 朋子
青森県出身。「人を直接助ける仕事がしたい」と、働きながら夜間のロースクールに通い、司法試験に合格。弁護士に加え、メンタル心理カウンセラーなど多数の資格を持つ。現在、アディーレ法律事務所では、弁護士の立場からマーケティング施策などに従事。プライベートでは海外ドラマが好きで、なかでも好きなのは「刑事もの」や「弁護もの」。特に女性弁護士アリーが主人公の『アリーマイラブ』は、子どもの頃から何度も見返すほどのお気に入り。(埼玉弁護士会 所属)
前の住人宛の荷物や、誤配された宅配便をうっかり開封してしまいそうになる瞬間。皆さんも一度は経験があるかもしれません。
もし封をされた他人宛ての「信書」を、正当な理由なく開封した場合、『信書開封罪(刑法 第133条)』が成立するおそれがあります。
「信書」とは納品書や領収書など、特定の人から特定の人に宛てた文書のこと。刑罰は1年以下の懲役または20万円以下の罰金です。
ただし、 自分宛てに届いたものと誤解して、「うっかり」開封してしまった場合には、犯罪をする意思はなかったので、『信書開封罪』は成立しません。
一方で民法上は、わざとではない(過失)の場合も、不法行為責任を負うことがあります。
したがって、 自分宛てに届いたものと誤解して開封してしまった場合、不法行為が成立し、相手が受けた損害について損害賠償を請求される可能性があります。
宅配便や手紙は、 開封する前に自分宛てのものか宛名を確認しましょう。
万が一、誤って他人の宅配便や手紙を開封してしまった場合には、すみやかに配送業者や送付先に連絡するなど、適切な対応を取ることが大切です。