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【きょうのギモン】犯罪者を見つけたら、捕まえてもいいんですか?

弁護士

保多崇志


【きょうの弁護士】保多 崇志(やすだ たかし)
早稲田大学法学部を卒業後、銀行員のキャリアを経て、弁護士に。アディーレ法律事務所にて、借金問題などの案件を手掛ける。趣味は将棋。また、”坂道系アイドルグループ” の大ファンでもあり、総勢100名ほどの全員の顔と名前を熟知している。(東京弁護士会 所属)


一般的に犯人を逮捕するのは警察官の仕事ですが、実は 状況によっては誰でも犯人を逮捕できます。

それが「現行犯逮捕」。簡単にいえば、犯行を行っている最中や、犯行直後であることが明らかな犯人(現行犯)であれば、誰でも捕まえることが可能です。

たとえば近ごろ、一般人による逮捕(私人逮捕)の一部始終を撮影して投稿する “私人逮捕系Youtuber” が話題にもなっていますが、これも「現行犯逮捕」であることを適法性の根拠としています 。


ただし「逮捕できる」とはいえ、注意が必要です。

たとえば逮捕する際に、犯人を殴って大けがを負わせれば『傷害罪』になりえます。また逮捕後に警察等の捜査機関に犯人を引き渡さず、長時間自分のもとに留めておけば、『逮捕罪』という罪に問われる可能性もあるでしょう。

当然、犯人ともみあいになって自分がケガをしたり、誤認逮捕によって相手から訴えられたりといった危険もあります。


私人逮捕は、目の前で起きた犯罪を食い止めて、犯人を逃さないために行う応急的措置。あくまでも 警察などの捜査機関の手が回らなかった場合に行う、限定的な制度 です。

安易に行うことは控え、やむを得ない場合のみ行うのが賢明だといえるでしょう。