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検事と弁護士の違いって?仕事内容やなり方など、弁護士に聞いてみた!

弁護士

相原彩香

こんにちは、アソベン編集部です。

本日、弁護士に聞いてみる内容がこちら!

「検事と弁護士の違いってなに??」
「検事や弁護士にはどうすればなれる??」
「ぶっちゃけ年収っていくらぐらい??」

などなど、詳しく教えてもらいます!

検事と弁護士の違いについて教えてくれる弁護士

【本日の弁護士】相原 彩香
一橋大学法科大学院を経て、弁護士に。現在はアディーレ法律事務所にて、主に「法律記事ライター」として、「日常のトラブルや悩み」の解決につながる、法律記事の執筆を手掛ける。月に一度は旅行に行くほどの旅行好き。


検事と弁護士の違いとは

検事と弁護士は、どちらも法律の専門家である「法曹」と呼ばれる仕事です。

どちらも法律を扱うという点では同じですが、仕事内容は大きく違っています。


検事の仕事内容

検事の仕事は、 犯罪の捜査をし、その犯人を裁判にかけるかを決めること です。

そして、裁判では犯罪があったことを証明し、有罪の判決が出たあとはその刑の執行を指揮します。

【例】仕事の流れ

①捜査:警察と協力して、事件について詳しく調べます。証拠を集めたり、証人に話を聞いたりします。


②起訴:集めた証拠をもとに「この人が犯罪を犯した」と判断した場合、その人を裁判にかけるために起訴します。


③裁判:裁判所で、検事は犯人が悪いことをした証拠を示して、裁判官に対しその人が罪を犯したことを証明します。


④刑の執行:有罪の判決が出たあとは、その刑の執行を指揮します。

検事の仕事は、犯罪の捜査や裁判だけではありません。国の法律家として、官公庁へ出向して官僚のような仕事をしたり、海外で法律の整備を支援したりしている人もいます。


弁護士の仕事内容

弁護士は法律の専門家で、 人々が法律の問題で困ったときに助ける仕事 をしています。

裁判では、クライアント(依頼人)の立場を守り、最善の結果を得るために弁護を行います。

【例】仕事の流れ

①相談にのる:人々が困っている問題について話を聞き、解決するためのアドバイスをします。


②書類を作る:契約書や遺言書などの重要な書類を作成します。


③交渉する:クライアントのために相手方と交渉し、問題を解決します。


④裁判をする:クライアントの立場を守るために裁判で弁護を行います。証拠を示し、証人を呼び、クライアントが有利になるように働きます。

ただ、弁護士の仕事は市民から法律相談にのったり、裁判をしたりするだけではありません。

刑事事件であれば犯罪の疑いがかけられている被疑者の弁護をしたり、企業をクライアントとして企業で起こるトラブルに対応していたりする弁護士もいます。


検事や弁護士のなり方とは

こうした検事や弁護士には、どのようにしてなるのでしょうか。

なんとなくイメージのある方もいらっしゃると思いますが、いくつかの関門が待ちかまえています。

具体的に、検事や弁護士になるには、基本的に 司法試験に合格し、1年間の司法修習を経たあと「司法修習生考査(通称:2回試験)」に合格する 必要があります。


まずは司法試験に合格する

まず検事や弁護士になるには、基本的に司法試験の合格が必要です。

近年の司法試験の合格率は30~40%程度。こう聞くと、思ったよりも簡単と思われるかもしれません。

しかし、司法試験を受けられるのはあくまでも 「法科大学院(ロースクール)修了(※)」もしくは「予備試験合格者」だけ で、すでに一定の関門を突破してきた人しか受験することができません。その中で30~40%の中に入るのはなかなか難しいといえるでしょう。

※ 2023年度からロースクール在学中でも司法試験を受験できるようになりました。所定の単位を取得し、1年以内に法科大学院を修了見込みであれば、在学中でも司法試験を受験することができます。

ちなみに司法試験は、「法科大学院(ロースクール)」を経て、受験する人の割合の方が多いです。もし法科大学院(ロースクール)に進学せず、司法試験を目指す場合には、合格率3~4%程度の予備試験をくぐりぬける必要があります。

どちらを選ぶにせよ、検事や弁護士になるには、それなりの時間や労力が必要といえるでしょう。


司法修習で検事・弁護士・裁判官に分かれる

司法試験に合格すると、司法修習がはじまります。

司法修習の期間は、約1年間。「司法研修所での研修」と「日本各地での実務修習(民事裁判・刑事裁判・検察・弁護)」を受けます。

そして 司法修習を経て、検事・弁護士・裁判官の道に分かれる ことになります。

検事になりたい場合には、司法修習が始まるときに「検事志望」であることを検事の教官を伝えることが大切です。司法修習のなかで、検事の教官から「検事としての素養」があると判断されれば、検事として採用されることになります。

司法修習の成績がよければ、検事として必ず採用されるというわけではありません。しかし、司法修習の成績がよいにこしたことはないので、検事志望であれば司法修習の勉強も頑張っておいた方がいいでしょう。


「2回試験」を突破する必要がある

検事や弁護士になるために、忘れてはいけないのが「2回試験(司法修習生考査)」。司法修習の最後に実施される、いわゆる「卒業試験」です。

ちなみに近年の不合格率は0~1%程度で、ほとんど不合格になることはありません。

しかし、 万が一不合格になってしまうと、翌年度、もう一度受験し合格しない限り、検事や弁護士になることはできません。 そうならないためにも、最後まで気を抜かないようことが大切です。


検事と弁護士の年収はどれくらい?

最後に、検事と弁護士の年収について紹介します。

「年収が高い」というイメージを持たれる方もいらっしゃると思いますが、実際どうなのか??公表されているデータをもとに、見ていきましょう。

検事の年収とは

検事の年収は、約600万円から約2900万円 となっています(※)。

検事の年収は『検察官の俸給等に関する法律』に定められおり、景気などに影響されることはありません。等級があがれば年収も一定程度までは上がっていきます。

(※)参考:裁判官・検察官の給与月額表(令和6年1月17日現在)


弁護士の年収とは

『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、 弁護士の年収は約1121万円 とされています(※)。

(※)参考:弁護士 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

これだけを聞くと、検事よりも弁護士の方が好待遇に思えます。しかし、弁護士の年収は5000万円を優に超えている人もいれば、500万円未満の人もいる、というように幅が広いです(※)。

収入面だけでいえば、「自分の能力や努力で、年収をいくらでも上げられる」という点に魅力を感じる方は「弁護士」安定性を重視したい方は、公務員である「検事」の方が向いているともいえるかもしれません。

(※)参考:近年の弁護士の実勢について|日弁連


まとめ

検事や弁護士は、どちらも法律の専門家という点では共通しています。

しかし、 検事は犯罪を捜査し、その犯人を裁判にかけるかを決めることを主な仕事としている のに対し、 弁護士の仕事には制限がありません。

離婚を多く扱う弁護士もいれば、刑事事件を多く扱う弁護士もいます。また、企業の法務部に所属し、会社員として働いている弁護士もいます。

そういう点では、弁護士の方が仕事に幅があるといえるでしょう。

検事や弁護士は、どちらも「人の人生を左右する」責任が重い仕事ですが、その分やりがいや魅力のあふれる仕事です。

検事や弁護士の仕事に興味がある方は、それぞれの職務内容やキャリアパスを理解し、ぜひ自分に合った道を選んでいただければと思います。