弁護士バッジに描かれた花の意味は?なくしたらどうなる?弁護士に聞いてみた!
弁護士
神野由貴
こんにちは、アソベン編集部です。
本日、弁護士に聞いてみる内容がこちら!
「弁護士バッジに描かれているのは、どんな花??」
「仕事中はいつもつけてる??」
「なくしたらどうなる?」
などなど、詳しく教えてもらいます!
弁護士バッジについて教えてくれる弁護士
【本日の弁護士】神野 由貴
税関職員の経歴を経て、弁護士に。アディーレ法律事務所にて、不貞慰謝料の請求における交渉・訴訟、また弁護士の視点からマーケティング施策などに携わる。プライベートでは、小学生の頃からの歴史好き。歴史ドラマやYouTube、書籍など、普段から様々な歴史コンテンツを楽しみ、時間ができれば、歴史的な名所にも足を運んでいる。(兵庫県弁護士会 所属)
弁護士バッジは、そもそもどんなもの?
一般的にも存在はよく知られている弁護士バッジですが、細かいデザインなどの詳細については、知らない方も多いのではないでしょうか。
弁護士バッジの正式名称は 「弁護士記章」 といい、 ひまわりの花をモチーフにしたデザイン となっています。
ひまわりは正義と自由、秤は公正と平等を表すとされています。
「ひまわりの花」の中心部分に描かれているのが、秤(はかり)。ひまわりの花びらの部分は金色、秤の部分は銀色です。
基本的に素材は純銀製、金色の部分は金メッキです。
裏側にはその弁護士の「弁護士番号」、その下には「純銀 造幣局製」と刻印されています。
自費で特注すれば、『金』でつくられた「金製の弁護士バッジ」にしてもらうこともできるようですが、少なくとも私の周囲に弁護士バッジを金製にした弁護士はいません。
おそらく金製の弁護士バッジを持っている弁護士は、ものすごく少ないのではないでしょうか。
弁護士バッジには、どんな意味がある?
弁護士登録をすると、必ず弁護士バッジは交付されます。そのため、 弁護士の会員証 といった意味合いがあるようです。
なお、申請すれば、日弁連(日本弁護士連合会)から顔写真付きの身分証が発行されるため、弁護士バッジだけでなく身分証の提示でも、弁護士であることが証明できるようになっています。
弁護士バッジは誰からもらう?
弁護士バッジは、登録した弁護士会を通じて、日弁連から交付されます。
ただし、 もらえるわけではなく、あくまで日弁連から貸与されている という状態です。そのため、弁護士をやめるときには返却しなくてはなりません。
弁護士バッジをつけるタイミングは?
『日本弁護士連合会会則』では、弁護士バッジについて次のように定めています。
(第29条2項本文)
「弁護士は、その職務を行う場合には、本会の制定した記章を携帯しなければならない。」
つまり、身に付けておく必要まではないけれど、 法律相談や裁判所などに行く際には携帯しておく必要がある ということです。
また、弁護士バッジの代わりに、前述した日弁連発行の身分証を携帯してもかまいません(同項ただし書)。
弁護士バッジは、どうやってつける?
弁護士バッジには、「タイタック式」「ネジ式」「ブローチ式」の3種類があります。
(左)タイタック式のバッジ(針を衣服に刺し、留め具で固定するタイプ)/(右)ねじ式のバッジ(フラワーホールに指し、ねじを回して留めるタイプ)。またブローチ式は、安全ピンのようなもので留めるタイプ。
従来、交付された当初は全員ネジ式となっており、ネジ式以外にしたい場合には、 わざわざ申請して、弁護士個人の自費で改造してもらう必要がありました。
ネジ式は、主に男性用のスーツについているフラワーホールに付けることを前提としたものであるため、女性弁護士のほとんどはタイタック式(あるいはブローチ式)に改造することになります。
そこで、 およそ2023年以降に交付された弁護士バッジからは、ネジ式でなく、針を衣服に刺し、裏側で留め具を使用して固定するタイプの タイタック式が基本仕様となった ようです。
ネジ式は男性用スーツを前提にした物なので、男女平等の観点から改められたようですね。
ちなみに、司法修習生がつける修習生バッジも存在するのですが、こちらは最初から全員タイタック式となっています。
弁護士バッジをなくしたらどうなる?
前述したとおり、弁護士バッジはあくまで日弁連から貸与されている物であるため、最終的には返却しなければなりません。
また、会員証としての役割があるため、なくしたらきちんと弁護士会に報告し、再交付を申請する必要があります。
さらに、 紛失の事実は官報(国が発行する新聞のようなもの)に掲載され、始末書を提出 しなければならないようです。
もちろん、再交付のための費用や官報の掲載費用も原則として負担しなければなりません。
なお、再交付された弁護士バッジの裏側には、再交付であることを示す「再」の文字が刻印されます。
弁護士バッジの豆知識
最後に、弁護士バッジにまつわる豆知識をご紹介します。
弁護士バッジの色でベテランかどうかがわかる?
弁護士バッジは、基本的に金メッキです。
そのため、ベテランになればなるほど、メッキが剥がれ、 内側の銀色が見えて全体的に銀色の弁護士バッジになる ことが一般的です。
(左)弁護士1年目のバッジ、(右)弁護士18年目のバッジ
しかし、金ピカのバッジをしているからといって、経験の浅い新人とは限りません。
前述のとおり、無くして再交付を受けたりすると、ベテランでも金ピカのバッジになりますし、長年裁判官や検察官として働いたベテラン法律家が、弁護士に転身してピカピカのバッジを身に着けていることもあります。
(あまり弁護士バッジを付けることがなく、交付時にもらった箱の中に入れたまま携帯しているケースなどもあります。その場合は、ベテランでも金ピカのまま保存されている場合もあるでしょう)
また、そもそも特注で「金製」にしていれば、金メッキが剥がれることはありません。
そのため『弁護士あるある』として、「経験豊富に見られようと、新人が金メッキを頑張って削っている」といった話もありますが、実はほとんどの場合ネタなのではないかと思っています。
一方、そういったネタ自体はよく耳にするので、昔はそういう風潮があったのかもしれませんが…(笑)。
偽物のバッジを使ったら法律違反?
インターネットなどで、「弁護士バッジのレプリカ」も販売されているようですが、そのようなレプリカを購入しただけなら、犯罪ではありません。
ただし、 弁護士でない者が弁護士を名乗ることは弁護士法に違反するおそれがある ため、レプリカを付けて弁護士のふりをすると、法的責任を問われる可能性があります。
また、弁護士バッジのレプリカを製造・販売する行為は、場合によっては(※)違法である可能性が高いです。
(※)どの程度精巧なのかによる。
もっとも、ドラマなどでよく見るレプリカは、おそらくですが本物と見比べるとすぐに偽物だとわかるため、セーフとされているのでしょう。
レプリカの弁護士バッジ(イメージ)
本物の弁護士バッジは、「ひまわりの花びら」の部分のみが金色で、中心部分は銀色ですが、ドラマなどに登場する弁護士バッジは、全体が金色に光っていることが多い印象です。
また、本物の弁護士バッジには厚みがありますが、ドラマなどで見る弁護士バッジは、見る人が見れば一目で偽物とわかるくらい薄い作りになっています。
ドラマなどで弁護士バッジを見る際は、ぜひ注意して見てみていただければと思います。
まとめ
弁護士会に登録すると、弁護士は全員、弁護士バッジを交付されますが、あくまで日弁連から貸与されているだけで、弁護士をやめるときには返却しなければなりません。
弁護士バッジは、ひまわりの花と秤をモチーフにしており、ひまわりは正義と自由、秤は公正と平等を表しています。
基本的に純銀製で、周辺部分(ひまわりの花びらの部分)には金メッキが施されています(中心部分は銀色)。
もし、 弁護士バッジのようなものを身に付けた怪しい人物に遭遇したら、登録番号を聞いてみましょう。
弁護士バッジの裏側には、弁護士個人の「登録番号」が刻印されているため、偽物であれば言い逃れをすることは難しいはずです。