弁護士とつくる “あそびメディア”

【きょうのギモン】友人が不注意でペットを逃がしてしまったのですが、慰謝料など請求できませんか?

弁護士

神野由貴


【きょうの弁護士】神野 由貴
税関職員の経歴を経て、弁護士に。アディーレ法律事務所にて、不貞慰謝料の請求における交渉・訴訟、また弁護士の視点からマーケティング施策などに携わる。プライベートでは、小学生の頃からの歴史好き。歴史ドラマやYouTube、書籍など、普段から様々な歴史コンテンツを楽しみ、時間ができれば、歴史的な名所にも足を運んでいる。(兵庫県弁護士会 所属)


具体的に「友人に頼んでペットを預かってもらっていた」というケースで考えてみましょう。

ペットを預かるという合意は、 「寄託契約(民法第657条)」 にあたると考えられます。

友人間でペットを預かってもらった場合、たいていは無報酬であることが多いでしょう。 無報酬の場合、ペットを預かった人は「自己の財産に対するのと同一の注意」義務があるとされています(同第659条)。

この注意義務は、いわゆる「善良な管理者の注意義務(善管注意義務)」よりは軽い義務ですが、不注意でペットを逃がしてしまったのであれば、特段の事情がない限り、この注意義務に反している可能性が高いと考えられます。


ペットを預かっていた友人には、少なくとも自分のペットを世話する場合と同程度の注意をする義務があったといえます。

それにもかかわらず、ペットを逃がしてしまったことについて過失(不注意や落ち度)が認められれば、友人に対してペットの時価相当額や慰謝料を請求できる可能性があります。

もっとも、 法律上請求が認められる金額にそこまで期待はできません。 家族のように思っているペットを失った心情を考えると、残念ながら少額といわざるを得ないものになるでしょう。