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【きょうのギモン】仕事中のタバコやトイレはどこまで認められますか?

弁護士

神野由貴


【きょうの弁護士】神野 由貴
税関職員の経歴を経て、弁護士に。アディーレ法律事務所にて、不貞慰謝料の請求における交渉・訴訟、また弁護士の視点からマーケティング施策などに携わる。プライベートでは、小学生の頃からの歴史好き。歴史ドラマやYouTube、書籍など、普段から様々な歴史コンテンツを楽しみ、時間ができれば、歴史的な名所にも足を運んでいる。(兵庫県弁護士会 所属)


1日に度々、長時間のタバコやトイレに席を立つ人がいると、不平や不満の声が職場で挙がってしまうこともありますよね。

ではそうした行為は、仕事中にどこまで認められるのでしょうか。許容される範囲を考える上でポイントになるのが、その時間が「労働時間」といえるかです。

労働時間であるかは、労働から完全に解放されておらず、「使用者の指揮命令下に置かれているといえるか」が判断基準となります。

たとえば仕事中の “タバコ休憩” は、一見「休憩時間」にも見えます。

ただ喫煙場所が会社内などにあり、 何かあれば指揮命令を受け、すぐに仕事をはじめられる状況 であれば、原則として労働時間と認められるといえるでしょう。

労働時間にあたれば、その時間分の減給は認められません。


一方でどのようなときに、労働時間と認められない可能性があるのでしょうか。

一般的にタバコでいえば、 喫煙場所が執務スペースから遠くなるほど、喫煙のために離席している時間が長くなるほど 、労働時間であると認められにくくなるでしょう。

一例として、裁判例を見ると、”タバコ休憩” で戻るまでに10分前後かかるケースにおいて、休憩時間だと判断した事例があります。個別の事情によって変わりますが、一つの基準として考えても良いかもしれません。

またトイレは生理現象なので、原則、休憩時間として扱うのは違法です。ただし、トイレにかこつけた長時間の離席が常態化している場合などは、その時間が労働時間として認められないことも十分にあり得ます。


タバコやトイレの長時間の離席は、周囲の不平や不満など、職場での無用なトラブルにもつながります。

そのため気持ちよく仕事をする上でも、ぜひ周囲に配慮の上、理解の得られる範囲で行っていただくと良いと思います。