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【きょうのギモン】盗まれた自分の自転車を見つけたので、持って帰ったら犯罪になりますか?

弁護士

神野由貴


【きょうの弁護士】神野 由貴
税関職員の経歴を経て、弁護士に。アディーレ法律事務所にて、不貞慰謝料の請求における交渉・訴訟、また弁護士の視点からマーケティング施策などに携わる。プライベートでは、小学生の頃からの歴史好き。歴史ドラマやYouTube、書籍など、普段から様々な歴史コンテンツを楽しみ、時間ができれば、歴史的な名所にも足を運んでいる。(兵庫県弁護士会 所属)


ポイント① 日本で「自力救済」は原則禁止

もしバッタリ盗まれた自転車を見つけても、その「自転車をそのまま持ち帰る行為」には注意した方がいいでしょう。

なぜなら日本では、原則として「自力救済」が禁止されているからです。

「自力救済」は簡単にいうと、 法的手続きを経ずに、自力で被害を回復したり、自分で自分の権利を実現したりする行為 です。盗まれた自転車を自力で取り返す行為は、この「自力救済」に該当する可能性があります。


ポイント② 自分の自転車なのに、『窃盗罪』になる可能性がある?!

具体的に「盗まれた自分の自転車を見つけ、勝手に持って帰った」場合、『窃盗罪』が成立する可能性があります。

というのも『窃盗罪』は、実際には自分の物であっても、 他人が「占有」している状態で勝手に持ち去ると、成立する可能性がある ためです。

ここでいう「占有」とは、「物を実際に支配している状態」を指します。 その物が “実際は誰の物であるか”は関係なく、その支配が一時的であっても、法的な保護の対象となる のがポイントです。

たとえば、盗まれた自転車が他人の敷地内に置かれていた場合、その家の住人がその自転車を「占有」していると判断されるでしょう。この状態で勝手に自転車を持ち去ると、基本的に『窃盗罪』が成立します。

また、盗まれた自転車を発見したのが公道や空き地などであっても、盗んだ犯人による「占有」が認められるケースもあります。それを勝手に持ち去ると、『窃盗罪』が成立する可能性があるといえるでしょう。

「自力救済」は様々なトラブルの元にもなりますので、盗まれた自転車を見つけた場合は、まず警察に通報するようにしましょう。