【きょうのギモン】「ステルス値上げ」って、違法にならないんですか?
弁護士
川原朋子
【きょうの弁護士】川原 朋子
青森県出身。「人を直接助ける仕事がしたい」と、働きながら夜間のロースクールに通い、司法試験に合格。弁護士に加え、メンタル心理カウンセラーなど多数の資格を持つ。現在、アディーレ法律事務所では、弁護士の立場からマーケティング施策などに従事。プライベートでは海外ドラマが好きで、なかでも好きなのは「刑事もの」や「弁護もの」。特に女性弁護士アリーが主人公の『アリーマイラブ』は、子どもの頃から何度も見返すほどのお気に入り。(埼玉弁護士会 所属)
「ステルス値上げ」とは、価格を据え置いたまま商品の内容量を減らすことで、実質的な値上げを行う手法です。
一見、消費者が値上げに気づきにくいので、近年ステルス値上げを採用する企業が増えているようです。
しかし、以下のような 表示ルールを守っている限り、1個の商品をどの程度の内容量とするかは企業の営業活動の自由 です。
・計量法に則った内容量を表示する
・消費税法に基づき消費税込みの価格を表示する
・景品表示法の不当表示にあたらない表示をする
なので、ステルス値上げ自体は違法ではありません。
ただし、ステルス値上げは、消費者が気づかないうちに実質的な値上げが行われることから、不誠実だと感じる人も多いようです。
また、日常的に買っている商品について、実質値上げが原因で買う商品を変えた(やめた)人も一定割合で存在します(※)。
(※)参考:COLUMN1実質値上げ(ステルス値上げ)に関する消費者の意識(物価モニター調査結果より)| 消費者庁ウェブサイト
「ステルス値上げ」は、違法ではありませんが、消費者の信頼を失うきっかけにもなります。企業側にもやむを得ない事情はあると思いますが、このような消費者の動向も踏まえたうえで、透明性のある価格設定と情報提供を大切にしていただきたいですね。